主な疾患と症状
- 乳児湿疹
- 生後まもなく、頭や顔にでて、次第に体や手足に赤いブツブツや、かさかさした皮膚になります。かゆみがひどいと、赤ちゃんでも顔をかいて掻き傷が出来ることもあります。アトピー性皮膚炎との区別が難しい場合もあります。
赤ちゃんの皮膚に湿疹ができると、見た目の問題だけではなく、将来的にアトピーやアレルギー性鼻炎、喘息の発症リスクが高くなることが近年多数報告されています。適切なスキンケアを行い、治療をすることが大切です。 また、新生児期はニキビ(新生児ざ瘡)や、脂漏性皮膚炎になることもありますので、赤ちゃんの皮膚にトラブルがあれば、まずお気軽に受診してください。
- アトピー性皮膚炎
- 湿疹が2ヶ月以上続きます。乳児アトピー性皮膚炎の一部は食物アレルギーを合併することがあります。食物アレルギーを合併しているアトピー性皮膚炎は、①血液検査やプリックテストで陽性を示し、②アレルギー陽性の食物を除去して症状がよくなるが、③アレルギー陽性の食物を与えると症状が悪化するという、①②③の条件を満たす場合です。皮膚炎は、風邪や胃腸炎などの感染症、予防接種、生活リズムが崩れたりすると(旅行など)、しばしば悪化しますので、食物だけが症状悪化の原因ではありません。季節の影響も考える必要があります。夏は汗による悪化、冬は乾燥による悪化もあります。掻きこわしをそのままにしていると、とびひなどの二次感染も起こりやすくなります。適切なお薬を使いながら、湿疹をコントロールしましょう。
- おむつかぶれ
- 尿や便に含まれるアンモニアや酵素などが刺激となり、おむつの当たるところに赤いブツブツやただれが出来ます。おむつをこまめに替えて、お尻の清潔と乾燥を保つことが予防にもケアにもなります。それでも、かぶれてしまった時には、亜鉛華軟膏やワセリンで保護しますが、症状がひどいような場合には弱いステロイド軟膏を使用します。数日ケアをしてもよくならない時は、カンジダ皮膚炎の可能性もあります。自己判断はせずに必ず経過を見てもらいましょう。
- 水いぼ
- 水いぼは、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV … ヒトパピローマウィルス)とは異なるポックスウイルスの感染によって発症します。水いぼにかかったお子様との直接的な接触だけでなく、バスタオルやスポンジ、 ビート板などを介して感染し、直径数mmまでの表面がツルツルした光沢のある盛り上がりとなって皮膚に現れます。このウイルスに対する免疫を獲得すれば、自然に治癒しますが、それには数ヶ月から多くは1年以上を要する場合も多く、その間に掻き壊して周りに拡大していくケースも少なくありません。掻いている場合は、水いぼの治療の前に、湿疹の治療を行います。麻酔のテープを処置時に用いることで、痛みをかなり和らげることが可能です。
- とびひ
- とびひは、あせもや虫刺されを掻きこわした傷、すり傷、ジクジクした湿疹などに細菌が感染して起きます。これらの細菌は、健康な皮膚には感染しませんが傷ができていたりアトピー性皮膚炎があったりすると、皮膚の抵抗力が弱くなっているため感染してしまいます。とびひの治療は、抗生物質の飲み薬と塗り薬を使用します。また、細菌培養検査にて原因となる細菌をつきとめ、最も効果のあるお薬を処方致します。生活上では、病変部をしっかりとシャワーで洗い流し菌をできるだけ減らすことが重要です。
- いぼ
- いぼは、医学的にはウイルス性疣贅(ゆうぜい)と言い、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV … ヒトパピローマウィルス)の感染によって生じます。HPVは正常の皮膚・粘膜には感染せず、小さい傷などを介して感染し疣贅を形成するため、外傷を受ける機会の多い手のひらや足の裏、指先などに多く発症します。特に小児の場合には、「ミルメシア」という、痛みを伴い、一見魚の目のように見えるいぼが手足にできることがあります。その他、アトピー性皮膚炎児では、皮疹を繰り返しやすい肘や腋窩などに、独特の分布・臨床像を呈することがあります。いぼの治療は、液体窒素による凍結療法が基本ですが、その他に漢方薬の内服などもあります。通常1回で治ることはなく、1-2週間毎に根気強く繰り返し治療する必要があります。